『雨音はショパンの調べ』 過去に流行った名曲の一つです。 いまだ色褪せないこの曲と、若かりし頃とに思いを馳せるエッセイです。 ショパンの『雨だれ』が聴こえてくるような……そんな作品です。
リリースされてから四十年以上を経た今も色褪せることのない名曲。その存在は私たちの雨に対する感性を変え得る力を秘めていると今でも感じます。秋に映える切なく儚い旋律と、雨のように透明で美しい歌声。鼓膜に残る残響と鼻粘膜に妖しい残り香に、幾度となく疲れた心身を癒され、その趣向にどこまでも溺れたくなる艶然に心を奪われてしまいたい衝動は、どこか心の麻薬に似ている。雨音はショパンの調べ――この名曲をご存知でない方は、是非この機会に一度聴いてみてほしいのです。あなたの人生に繋がる、雨のように途切れそうで切れない糸の存在を感じてみてください。
個人的な感想ですが、この作品は次のような瞑想の機会を与えてくれると思います。「今、私の耳に聞こえているのはピアノの旋律なのだろうか?」それとも「クラシック音楽を聴きながら外の景色を眺めているような感覚なのだろうか?」もしくは「ただ単に郷愁に駆られているだけなのだろうか?」読者の皆様にぜひお勧めしたい一冊です。
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