失ったからこそ、大事な仲間がその手に残った。いまこそ再起のとき!

主人公の狩野夜隆は、大君と呼ばれる王族の狩野雲隆の三男。
武術の才に恵まれていますが、なにより皆から大事に大事に育てられました。

そんなある日、御父上の雲隆が逝去。あとを継いだ長男も落馬により身体が動かせぬ身となります。

夜隆の運命はここから大きく変わります。

タイトルをご覧ください。
〝澎湃〟とは、水が逆巻くさまを表しているのだそうです。まさにこの逆巻く水の上の木の葉のごとく夜隆は翻弄されます。

最初に申し上げましょう。
夜隆の最初の困難は非常につらい。ほんと、非常につらいけど……。

そこから彼はつかみ取るんです。
お坊さんと美少年と海賊を!!!!
(……何言ってんだこいつ、とお思いでしょうが、読んだらわかる!)


物語を読む醍醐味って、主人公の成長を感じられる時ではないでしょうか。
夜隆、成長するんですよ……。
ほんと、見守ってきてよかった。
こいつ、いつかやるやつだって思ってたよ……。
そんな親心もくすぐります。

最後に、改めてもう一度タイトルをご覧ください。
「海上で万難を排して帰還すること」とあります。

辛いこともある。裏切りもある。世の中を恨みたくなる。
だけど。
万難を排します! 帰還します! もうタイトルが保証している!

ブロマンスの良作をお探しの方にもぜひおすすめの本作です!

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