第9話

学校にもいたくなかったが、家にも帰りたくなかった。

無駄に回り道をして帰っていたら雨が降り始めた。

ゲリラ豪雨か、雨脚は一気に強まっていった。私は諦めて家路を走った。


「なんで」


びしょ濡れになった才乃が玄関の前でうずくまっていた。

才乃は私を見るなり抱きついてきた。

雨の匂い。

それから才ちゃんの匂い。


「私また傷つけちゃった」


ひどい声。ずっとここで泣いてたんだ。


「私はどうしたらいい?ねぇ、もう無理?私はどうすれば…」


激しく上下する胸をギュッと抱きしめた。


「大丈夫」


私は私がこの言葉を繰り返す意味を忘れていた。


「才ちゃんには私がいるから大丈夫」


こんな凡人の私がどうにかもがいて縋り付く。

ワトソンでいいから側にいたい。


この日は才ちゃんのうちに泊まった。

そして才ちゃんの推理を聞いた。

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