ワトソンでいいから

プロローグ

第1話

私、鳩村秀子（はとむらしゅうこ）は自分で言うのもなんだが優秀な人間だ。

勉強、運動、芸術、全てクラスで五番に入るくらいには出来る。

そんな私だけど、周りの人から褒められたことはあまりない。

「王岩才乃（おおいわさいの）さんには表彰状が１０枚届いています」

学年集会の度に起こる決まりきった茶番。

大岩才乃、私の人生史上で一番の天才。たぶんこれは百年生きても変わらない。

「秀ちゃん、ついに先生めんどくさくなって１０枚一気に渡してきたわ」

そして私の人生史上最も長い時間を共に過ごしている人だ。