暴風ハロー注意報
今日はね、台風が来てるの。お外は暗くて雨がいっぱい降ってて、なんだか風も強くなっていくみたい。
ママは「防災備蓄」っていうものを買いにお買い物に行っちゃったわ。昨日のうちに行っておけば雨の中をお出かけしなくて済んだんでしょうけど、昨日はママとコナちゃんは一緒にお昼寝していて忙しかったから今日になったのよ。
ママは急いでお出かけしたからベランダに出る窓の雨戸が閉まってなかったの。コナちゃん、ママがあんまり濡れないで帰って来られるといいなって思ってお空を見てたの。
だから、その大きなトカゲと目が合った時、コナちゃんは床に仰向けになっていたの。台風の中、お外にいるなんてきっと野良トカゲだと思ったから、コナちゃん、ご挨拶したの。
「
コナちゃんのお口の周りと胸もとからお腹にかけては真っ白いの。そこにピンク色のお
「カワイイ」
「ありがとう、アナタも素敵よ。私コナちゃん」
「我はハスター」
「仲良くしてね、ハスター」
「良いだろう」
「ハスターもおうちに入る?」
「ただいまー」
ガンちゃんだわ。コナちゃんが避暑に行ってたお店にお礼を兼ねて残暑お見舞いに行ってきてたの。ポータルとかいう魔法を使っていたのよ。
「舟虫姐さんも、銀行の若い支店長さんも元気だったよ」
「おかえり、ガンちゃん」
コナちゃんがハスターを紹介する前にガンちゃんはお部屋に駆け込んできたわ。
「ハスター! コナちゃんに何をするつもりだ!」
ガンちゃんは窓を開けて室内に入ってきた黄色いTシャツのお兄さんに向かって勢いよく威嚇のシャーをしたの。さっきまでとても大きなトカゲに見えていたけど、ニンゲンだったのかしら。
「ガンちゃん、ハスターとお友だちなの?」
「うん。知ってるよ」
「こんにちは、ガンちゃん」
ハスターがご挨拶すると、ガンちゃんはハスターに頷いて見せて尻尾をまっすぐ立てていたわ。
「コナちゃんがお家にご招待したの?」
「うん、そうよ。だってお外にいたら濡れちゃうでしょう?」
「う、ん。そうだね、コナちゃん」
ガンちゃんはハスターと顔を見合わせてからなんだか歯切れが悪くそう言ったの。どうしたのかしら?
「ハスターはね、風の神様でもあるんだよ。だから」
「ガンちゃん、これ、お土産の液体おやつだよ」
ハスターがガンちゃんに液体おやつのチューブを差し出したの。コナちゃんも欲しいわ。そういえば、ママが帰ってきたら、知らないニンゲンがお家にいてビックリしちゃうかしら。
「大丈夫、催眠術で、遊びに来てるキミたちのママの従妹の子供ってことにしておくから」
それなら安心だわ。ママも早く帰ってこないかしら。窓の外を見たら風で色んなものが飛ばされていたの。よそのお家の植木鉢とかも飛んできてるわ。
ハスターが胡坐をかいて床に座ったから、コナちゃんはそのお膝の上に乗ったの。ハスターが優しく撫でてくれたら眠くなってきちゃったわ。
「ママ、大丈夫かしら。風で怪我したりしないかしら」
「大丈夫だよ、コナちゃん。ハスターがお約束するよ」
ガンちゃんがコナちゃんのお隣で丸くなっているわ。
ママが帰ってくるまでおやすみなさい。
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