第129話 ダンジョン内に入る
セリエル達がハンガ戦を終えた頃、俺ことカルロスはダンジョンの前に到達していた。
ダンジョンのある洞窟はとても大きくかった。その穴は先が見えないほど暗くこの先何が待ち受けているかわからないことを暗に示しているような気がする。
「ようやく言われたダンジョンがある洞窟に着いたぞ。それにしてもこの洞窟でかいな!! これなら中にダンジョンがあると言われても納得だ!!」
俺は洞窟の穴に入ろうと近づく。すると、洞窟の近くに建っているぼろい年季の入ったような木製の建物から人が出てきたのである。
しかも一人だけではない‥‥‥何人もの人間が出てきた。そして、俺をみると一人の男が駆け寄ってきたのである。
その男はぼろい木綿の服を着ていた。どうやら、ここで働かされている人のようだ。
「あなたはなぜここにいるのですか!? あなたも私たちと同様にダンジョンの炭鉱作業にきたのですか!?」
「いえ私はダンジョンに用があってきました。ちなみに私はガリエント王国の護衛と同行してきたものです」
俺の話を聞いた男は驚いた表情をしながら、こう問いかけてきた。
「それは誠ですか!! もしかして私たちを救出にきてくれたのですか!?」
「ええ、その通りです。私たちが来たからには奴隷のように働かさせません。安心してください!!」
「ほ‥‥‥本当なのですね。もう‥‥‥奴隷のような生活をしなくて済むのですね‥‥‥」
男は泣き出していた。どうやら苦しい生活から抜け出せると希望を抱いて泣いたようだ。
「あの‥‥‥泣いているところ悪いのですが‥‥‥一つ伺ってもよろしいでしょうか!?」
男は腕で目をこすると、顔をこちらに向けてきたのである。
「は‥‥‥はい‥‥‥一体何を聞きたいのでしょうか!?」
「実は、この洞窟の中に誰かが入らなかったか聞きたいのです!?」
「あ‥‥‥ああ、それでしたらヨルドがこの中に入っていきましたよ!! しかもここの監視役を務めていた兵士たちを連れて‥‥‥まあおかげでこうして普通にあなたと会話できているのですが‥‥‥」
男はヨルドに対してつらい恨みのこもった表情をしながら俺に説明してくれた。
「なるほど、道理でここに監視役の者達がいないなと思いました。おかげで色々しれました。ありがとうございます。では、私はヨルドを追いかけますのでこれで!!」
俺は礼をして洞窟の中に入ろうとした。
「お‥‥‥お待ちください!! 一つあなたに重要な情報をお教えしたきことがあります‥‥‥」
俺は重要な情報と聞き、男の方を振り返った。
「重要な情報とは‥‥‥一体‥‥‥!?」
「実は、ダンジョン内には爆弾が仕掛けられているのです。これは、お役人たちに万が一ダンジョンが見つかった際に、ダンジョンを破壊するために仕掛けられたものです。これは、ダンジョンの奥深くまで爆弾が仕掛けられています」
どうやら、このダンジョンの中には爆弾が仕掛けられているようである。なんて‥‥‥ぶっそうな‥‥‥
「ですが、その爆弾を仕掛ける銅線は、一階層にあります。つまり奥深くまで行かなくてもヨルドをやっつけられるんです!!」
男は今にも爆弾を起動しようとしていた。
「お待ちください。中には女の子がとらわれているのです。もし起爆したら女の子もなくなってしまいます!!」
男はその話を聞いてみるみる顔色が悪くなった。
「ま‥‥‥まさか‥‥‥ヨルドは人質をとっていたのですか‥‥‥通りで銅線が一階にあるのに監視役全員を連れてダンジョンの奥深くまで行くわけだ!!」
男はヨルドの狡猾さに舌を巻いていたのである。
「でもご安心を。俺が必ず女の子を救出して、ヨルドを倒して見せます!!」
「ほ‥‥‥本当ですか!! なら、あなたにお願いしますよ!!」
男は再び顔色をよくしたのである。
「ええ、ではダンジョンの中に入りますね」
「ちょ‥‥‥ちょっとお待ちください」
「ま‥‥‥まだ何か!?」
俺は2度呼び止められたので怪訝な顔をしてしまう。
「実は、爆弾を持っているのです。これは、炭鉱を掘るために使うものだったのですが‥‥‥相手を傷つけることにも使えると思います。どうぞこれをうまい事ご利用ください!!」
俺は爆弾を渡された。非常に危ないものをもらい慎重に片付けたのである。
「ありがとうございます。これで奴らを簡単に一掃できるかもしれません!! では本当にこれにて!!」
「はい、何卒頑張ってください!!」
男は俺に手を振りながら見送った!!
俺は見送られながらダンジョンの中に入ったのである。
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