これは絵巻。詞書が湧きたつように、紙の上を埋めていく。

私は文字を、絵として追う癖がある。

それは言葉通り、ビジュアルとして脳が処理しているという意味でもあるし、同時に再生される映像の世界を観ている、ともいえる。

積極的に文字を追わない。
勝手に浮かび上がってくる「文字たち」を拾う。

そんな風にして読むので、たまに抜け落ちてきて、
そんな風にして読むので、たまに違う絵までもが見えたりもする。

目を落としてすぐに、これは絵巻だと私の脳は捉え、そして私は、そのゆるやかな時の流れにするりとひきずりこまれた。

そう、恋をして、周りの風景がふっと時を止めてしまうかのように感じられるあの瞬間の、ヴェールに包まれた、護られた儚い美しさがそこにあり、

そして浮かんだ構図と風の流れは、おかざき真理さんの絵世界そのものでした。

詩でもなく、小説でもなく、絵のない絵巻を、文字(絵詞)で構成する世界。

これは、ははこさんならではの美しさと切なさだと思っています。

ありがとうございました。

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