言葉のチョイスには一切の気負いがない、だからこそシーンが際立ち、ピリピリと張り詰めるような美しさがオキタクミの文章には宿っている。一年ほどオキタクミを追いかけてきたが、彼、または彼女の世界はどこまでたどり着くのだろう。その高みには限りがないように感じる。なにかを代弁してほしいとかしてほしくないとか、もはやそのような俗な社会問題を遥かにこえ、生命の愛おしさを感じるほどだ。いつものことながら、抽象的なおすすめですみません。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(357文字)
大学院生の紗田は、文という、芸術系のガールフレンドと五年付き合っており、自分は日夜研究をし、そして、自分の体の制御もままならなかった。自分の目を通じて、心に届くまでに、ガラスを間に何枚も挟んでいるかのように光が屈折し、結局はそれが本当に感じているか、わからなくなってしまう。……純文学のような読み応えで、感じることは受けて次第の部分があり、この物語を読んで何を持ってかえるかはあなた次第です。ご一読を。