桜舞い散る春の夜

　この世には魑魅魍魎が住んでいた。私達陰陽師は魑魅魍魎の妖より人々を守り、この世の秩序を保っていた。だが強大な敵により秩序は乱れ、次第に妖の有利な世になっていき、人の住まう場所は少なくなっていった。

　だがその後陰陽師の始祖と呼ばれる安倍晴明は魑魅魍魎の主と謡われた酒呑童子と単身で戦い、その命と引き換えに酒呑童子を封印した。人々は安倍晴明の死に絶望しこの世の希望を失った。けれど彼の作ったこの秩序を終わらせるわけにはいかない。
　陰陽師は立ち上がり、彼の残した術本と陰陽寮の基盤を作り直し、この世の秩序を保ち、人々を妖より守り抜いた。

　この物語は安倍晴明が人々を救い、導いた千年後の物語である。