「釣れますか？」 暗い流れの向こうから

SARF×カクヨム 短編こわ～い話コンテスト
優秀賞受賞おめでとうございます

畳み掛けるような怖さ😱に戦慄します

東京に住んだことのない人間でも名前を耳にしたことはあるであろう「隅田川」。
その影にひそむ悲劇を語るプロローグがつづくのは、平穏無事な川のほとり。

ですが、その平穏にじわじわと、だが明瞭に染み入ってくる、不可解な影。
知らざる領域からの悪意が襲ってきたのか？
過去の惨劇が、黒い影となって浮かびあがってきたのか？

何も、何もわからないまま、“それ”はあなたへ手をかけようとしています……。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（189文字）

本作品は、読者を隅田川の深淵へと誘う、心震える物語です。

この小説の魅力は、隅田川を舞台にしたその独特な設定、読者の心に深く刻まれる強烈なメッセージ性、日常とは一線を画す世界を描いている点でしょう。


隅田川の暗い流れは、ただの川ではなく、生と死、現実と幻想の境界を表しているのでしょうか。

物語は読者にとって予測不可能な展開を見せ、一度読み始めたら最後まで手放せなくなります。

また、この物語の中で描かれる人間の姿は、生々しく、時には心を打つものがあります。

主人公が体験する不条理な出来事は、読者自身の人生における「不条理」について考えさせる瞬間を提供し、読者に深い共感を呼び起こすで…続きを読む

むかしから「三途の川」という言葉は広く普及している。
最近では、愛しいペットが亡くなったときにも「虹の橋を渡りました」という表現も使う。

日本の文化において「川」は境目である証左とも言えるだろう。

上記の例は、あの世とこの世の境目である。
境目とは何かと何かを区別するからできるものだ。

しかし、恐怖はしばしば境目を超越することがある。
この物語がその一例ともいえるだろう……