確かな文章力に裏打ちされた切ない人間ドラマ。

 雪深い町の児童養護施設で暮らす主人公の新奈。だが、彼女は雪の日にこの町の人々が記憶をなくしてしまうことに気づいてしまった。どこかかみ合わない歯車のような日常の中で主人公はこの施設の大きな謎に迫っていく――。
 繊細な筆致で描かれるまるでファンタジーの世界のような美しい情景、夢のような世界で始まるが、徐々に話がうねり出しサスペンス溢れるドラマチックな展開となっていく。
 少年少女の冒険に胸が高鳴る、読み応えのある上質のSFでした。
 

その他のおすすめレビュー

不二原光菓さんの他のおすすめレビュー50