第9話 悪化していく関係
その日沙奈は早退した。きっと今朝のことが原因だろう。今日の出来事で沙奈とは関係が悪くなってしまった。あかりとも気まずくなってしまいそうで少し距離をおいてしまう。昨日は夢だったんだろうか。そう願いたい。でも関係はどんどん悪化していく。そんな気がした。でも時はまってくれない。気づけば学校は終わっていた。いつも一緒に帰るあかりは見当たらない。だからなんとなく部活に顔を出すことにした。美術室に来るのなんていつぶりだろう。美術室はとても静かで朝の一件を思い出させるようだった。鉛筆の音と筆をすべらせる音が響く。僕もなにか書こうと紙を手にするがなにも思い浮かばない。何を書こう。手が全然動かない。結局なにもかけずに下校時刻になった。一人で帰るの久しぶりだな…いつもは一瞬の帰り道が今日はとてつもなく長く感じた。やっとのことで家につく。沙奈に謝ろうとスマホを手に取る。でもメッセージを打とうとすると手が動かなくなった。そのまま僕は寝落ちしてしまった。いつもは扉の向こうで待っているあかりも沙奈もいない。そりゃそうだよな。僕は心のなかでそうつぶやく。今日も授業が終わると一直線に逃げ込むように美術室へ向かった。でも昨日のことが忘れられず筆が走らない。今日もまたなにも出来ずに一日が終わる。こんな日々がいつまで続くのだろう。
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