第4話  一ノ瀬あかりと吉田あかり

「大丈夫?」吉田さんがたずねてくる。僕はぼーっとしてしまって頭が回らない。だから僕はなにも答えれなかった。「ごめんね。急に話しかけたりなんかして」何もかもがあかりと重なっていく。「私吉田あかりよろしくね」 「吉田あかり」その言葉を頭の中で繰り返す。本当にあかりだとしたら…でも僕の知っているあかりは黒髪ロングの一ノ瀬あかりだ。でも目の前にいるのはショートカットの吉田あかりだ。でもやっぱりどこか引っかかるところがあった。とりあえず「よろしく」と僕も返す。そんな会話をしているとチャイムが鳴り授業が始まる。でも吉田あかりについて考えてしまうせいで全然授業に集中できない。そんな調子で家に帰っても吉田あかりについて考えてしまう。結局今日はあまり眠れなかった。今日も一人で登校していじめられる。そんな憂鬱な気持ちで家を出るとそこには吉田あかりの姿があった。「おはよう!」と何事もないかのように挨拶をされる。「おはよう」と返すとなぜか彼女は少し嬉しそうな顔をした気がした。なにも話すことがないまま学校についた。でも吉田さんはどこか満足そうだった。いつもどおりの一日が終わり翌日を迎えるとまた外に吉田さんがいた。昨日と同じように挨拶を交わす。「今日いい天気だね」 「そうだね」僕が素っ気なく返す。すると彼女は少し悲しそうな顔をした。

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