第10話 思い出

今日も美術室に来てしまった。今日はなぜか筆が進む。あの頃を思い出したのだ。中学生のときに僕とあかりと沙奈で海に行ったことを思い出した。あの日はとてもいい天気で飛行機が飛んでたのをなぜか鮮明に覚えている。今思うとあかりが引っ越す前触れだったのかもしれない。そのときに僕たちは朝日高校に行くことを約束したのだ。海から見える島にある高校。それが朝日高校だ。その幸せな思い出に浸りながら僕は絵を書き進めた。気づけばもう学校のチャイムが鳴り、下校時刻になっていた。「また明日も書こう」僕はそう思った。そんな明るい気持ちで家に帰ると、あかりと沙奈のことを思い出す。今日こそはとスマホを手に取る。そして沙奈にメッセージを書く。「この前は本当にごめん。でも僕は沙奈のことを友達としてしか見れない。だからごめんなさい」こんな感じでいいのだろうか。でも今の率直な思いはこれだ。送信ボタンを押す。その瞬間僕はもっと嫌われてしまうんじゃないかと少し後悔した。送信を取り消そうと思ったときにはもう遅い。すでに既読がついていた。でも僕の予想通り返信はなにもなかった。でも僕は少しスッキリした。だからか今日はとても良く眠れた。朝になり学校につく。やはりまだ僕のことを沙奈はいじめてくるけどなにも気にしない。そのおかげで今日は割と時間が経つのが早かった気がする。今日も美術室で昨日の絵の続きを書く。それを書いているときはなによりも幸せだった。やっとのことで絵が完成した。僕はその思い出の作品をコンクールに出展することにした。

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