この冒険者パーティ、全員、精神病者しかいない!!

かなりの変わり種な異世界の冒険者ものです。

冒険者生活、というのをリアルなお仕事ものとして掘り下げる作品は、ままあるかと思われますが。

この作品の場合、パーティ全員が精神疾患を患ってる!

でもフィクションでよくあるようなマッドなキャラとか、倫理観が崩壊して犯罪しまくるサイコパスとかじゃない。

現実世界の我々の回りにもごく普通にいる、鬱病などの病状をもってる人たちなんですね。

そういった病状を抱えるせいで、一般社会で生きづらい彼らは、『株式会社イルネスカドル』という、いわゆる冒険者ギルドを作り、そこで互いを支え合いながら共同生活をしています。

そして主人公の剣士ルークが、その会社に入るところから、物語が始まります。

が、仲間全員が癖ツヨキャラすぎる。

日常生活はカオスそのもので、ドタバタなコメディタッチで描かれます

喧嘩や暴力沙汰も日常茶飯事ですが、互いに相手の病状を理解しあっているため、揉める度に相手への理解がさらに深まり、逆に絆が強まっていったりするのが面白い。

その逆に、『外部委託の軍事事業』いわゆる冒険者への依頼をこなすときは、シリアスタッチ。

日常生活のドタバタで身につけたチームプレイで、鮮やかに依頼をこなしますが──。

戦闘の中で描かれるのは、人同士の生々しい感情のぶつけ合い。

かっこよさや、外連味よりも、『外部委託の軍事事業』などという危険な仕事をするしかない者たちの、魂の叫びが印象に残ります。

でも、全編を通して感じるのは、これは暗いお話じゃない、ということ。

キャラクター全員が病を抱えながらも、必死に生き抜こうと前向きにがんばってるんですよねえ。

パーティメンバーが、それぞれの立場によりそって、助け合っていくなかで、だんだん絆が深まっていく様子は、あったけえです。


というわけで、この作品はこんな方にオススメです。

:冒険者生活をリアルに掘り下げた系が好きな方。

:苦境の中でも、仲間と助け合い、明るく元気にがんばる主人公が好きな方。

:濃いめの人間ドラマを見たい方。

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