この冒険者パーティ、全員、精神病者しかいない!!
- ★★★ Excellent!!!
かなりの変わり種な異世界の冒険者ものです。
冒険者生活、というのをリアルなお仕事ものとして掘り下げる作品は、ままあるかと思われますが。
この作品の場合、パーティ全員が精神疾患を患ってる!
でもフィクションでよくあるようなマッドなキャラとか、倫理観が崩壊して犯罪しまくるサイコパスとかじゃない。
現実世界の我々の回りにもごく普通にいる、鬱病などの病状をもってる人たちなんですね。
そういった病状を抱えるせいで、一般社会で生きづらい彼らは、『株式会社イルネスカドル』という、いわゆる冒険者ギルドを作り、そこで互いを支え合いながら共同生活をしています。
そして主人公の剣士ルークが、その会社に入るところから、物語が始まります。
が、仲間全員が癖ツヨキャラすぎる。
日常生活はカオスそのもので、ドタバタなコメディタッチで描かれます
喧嘩や暴力沙汰も日常茶飯事ですが、互いに相手の病状を理解しあっているため、揉める度に相手への理解がさらに深まり、逆に絆が強まっていったりするのが面白い。
その逆に、『外部委託の軍事事業』いわゆる冒険者への依頼をこなすときは、シリアスタッチ。
日常生活のドタバタで身につけたチームプレイで、鮮やかに依頼をこなしますが──。
戦闘の中で描かれるのは、人同士の生々しい感情のぶつけ合い。
かっこよさや、外連味よりも、『外部委託の軍事事業』などという危険な仕事をするしかない者たちの、魂の叫びが印象に残ります。
でも、全編を通して感じるのは、これは暗いお話じゃない、ということ。
キャラクター全員が病を抱えながらも、必死に生き抜こうと前向きにがんばってるんですよねえ。
パーティメンバーが、それぞれの立場によりそって、助け合っていくなかで、だんだん絆が深まっていく様子は、あったけえです。
というわけで、この作品はこんな方にオススメです。
:冒険者生活をリアルに掘り下げた系が好きな方。
:苦境の中でも、仲間と助け合い、明るく元気にがんばる主人公が好きな方。
:濃いめの人間ドラマを見たい方。