隣の芝生は青――……いいえ、そこは世界を滅ぼす怪物が闊歩する地獄でした

非ナーロッパ系の異世界転移ものでございます。

主人公は現世で不幸な身の上で生きてきた青年。
この世に絶望し、どこかに理想の世界はないものかと夢想するような日々。

そんなときに転移しちゃうんですね。異世界に。
でもそこは、彼が夢見た理想郷なんかではなかった。
世界を危機におとしめるバケモノどもが闊歩する、地獄とも呼べる場所。

だけど、そこで彼は出合うんですね。
彼へ温かく接してくれる人々たちと。
それは生まれて初めての経験。
生まれて初めて、誰かのために生きたい、と思える瞬間に巡り会えたのです。

絶望的な世界に転移しながらも、初めて生きる喜びを見つけたという皮肉。
これはそんな青年の、生きる目的を手に入れるまでの記録と言える物語。

この作品の特徴はなんといっても、非ナーロッパなユニークな異世界になるでしょうか。
地球とまったく違った常識や文化が、そこかしこで描かれるので、異世界を観光してる気分で楽しめるんですね。

これが主人公の体験を通して描かれるから、存在しないはずの世界なのに実感のようなものを感じてしまう。
異世界で生きる、そんなリアリティを感じられる作品です。



こんな方にオススメ

:ユニークな異世界を体験したい方

:異世界で必死に生き抜く主人公が好きな方

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