アライ池の花屋さん

　田畑が広がり、家がところどころにかたまっている。私が育った街について私が持っている「原風景」はそういうものだった。
　しかし、それより前、その街はため池の点在する街だったらしい。私が生まれたのは、そのため池が消えてから、田畑がほとんどすべて住宅地に変わってしまう前の時間だったということだ。
　そういうため池の跡地にできた高級住宅地と、そこに開店した花屋さんについての断片的な回想。
　＊ジャンルは「エッセイ・ノンフィクション」としていますが、固有名詞など一部を実際とは変えています。ご了承ください。