春の花が夏の樹の元で――木漏れ日に花の言葉がそよぐ純愛


第27話までのレビューとなります。

夢か現か、幻か――妙なきっかけで主人公の【夏樹】(20)は運命の女性【春花】(19)と巡り逢う純愛ストーリー。
同じ時間に、同じ場所で、同じ想いを抱く――
恋愛にありふれたこれらの必須条件が、ある特殊な力が心の糸口となって、物語は謎に満ちた展開に花開いてゆくのです。奇妙な巡り合わせは非日常の感覚にいざなわれ、奥妙として惑うことでしょう。だからこそ、次第にその女性に惹かれていく必然性に抗う術がない……この運心はとても繊細で機微に富んでおり、非常に読み応えがあります。
照れ隠しをする夏樹と鈍感な春花。とても初々しくも瑞々しさを湛える心情描写は、夏祭りの屋台にこそばゆく映えて、りんご飴のように甘く焦がれていくようです。
偶然の重なりが必然の出会いとして運命の糸を引くように、人物相関の合縁奇縁をお楽しみください。

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