数年前、覚醒後、試合2
シュウゴはほとんど練習しなかった。膝が完治していなかったので、日頃のチーム練習への参加を特別に免除されていた。試合が近くなると、スパイクをはいて練習場へ顔を出し、軽く調整する程度だった。
それでもいざピッチへ立つと、大活躍をした。次の試合もその次の試合も、チームはシュウゴの活躍でゲームに勝った。
シュウゴは誰よりも早く走り高く飛び、シュートを決めた。とりわけあの超ロングシュートは、誰も真似できない必殺シュートだった。
シュウゴの才能はどうやら本物だと、隠れていた才能が開花したと誰もが思った。あいつの才能は三村以上だ。プロのスター選手になるかもしれない。日本代表になるかもしれない。
俺は天才だ。シュウゴも思った。サッカーの神様に選ばれたんだ。
もう努力なんてしなくてよいのだ。体を張ったプレーもしなくてよいのだ。そんなの泥臭くてみっともない。俺は天才なのだから、そういうことは他の選手がやるべきだ。
俺はどのみち結果を出せるのだから、努力しないほうが得ではないか。楽ではないか。
ここ最近は、がんばっているやつをみると、才能がないことのいいわけをする偽善者のようで、胸くそが悪くなってくる。才能がないのにサッカーをしていること自体が悪なのだ。サッカーに対する侮辱となるのだ。
才能がないやつは、才能がないことの落とし前をつけなければならない。才能がないやつは、俺のような神童の役に立つために、絶え間なく努力し、体を張ってがんばる義務があるのだ。
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