奈央
覚醒後ー
「三村くんね」奈央はいった。「Jリーグをあきらめるって」
「なんですって?」シュウゴはいった。「あんなにうまいのに、なぜあきらめるんですか?」
奈央は首をふった。
「三村くん、前からいってたのよ。自分はプロでは通用しないって。ここ最近のシュウゴくんを見ていて、とうとう心が決まったみたい」
「そんなことはないですよ。三村さんなら十分やれます」シュウゴはいった。
「私の兄はJリーガーだけど」奈央はいった。「子供の頃から普通じゃなかった。試合をみにいくと、兄以外の人は皆一様、金太郎飴の一粒一粒、いつもそんなふうに思えたものよ。その兄でさえ、J2のチームでレギュラーになれず、苦しんでいるの。正直三村くんはその兄ほどでもないわ」
「苦労はするかもしれないですが、もったいないですよ。三村さんならきっと通用します。俺からも説得してみましょうか?」
「優しいのね。あんなにバカにされていたのに」
彼は不意に奈央を身近に感じた。
「三村さんは俺を人間的に鍛えてくれていたんですよ」
シュウゴは奈央を抱き寄せた。
「やっぱりあなたは特別な人」奈央はいった。「きっとスター選手になるわ」
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