数年前、覚醒後、インカレ当日
インカレ本大会初日、シュウゴはピッチに立っていた。
チームがピンチを迎えると、最後尾でパスを受けた。相手ゴールへ向けて必殺シュートを放った。ボールは舞い上がり、相手ゴールへ飛んでいった。
様子がおかしかった。それはボールというより小さな岩石だった。ぶるぶる唸って黒いマグマを撒き散らしながら、相手のゴールのフェンスすれすれへ落下していった。
キーパーは片手を伸ばして弾こうとした。しかしそれがボールではないことに気付いた。とっさによけた。
それはネットを揺らした。会場がざわついた。キーパーは岩石に近づくと、腰砕けになり、尻餅をついた。
「お兄ちゃんは地球靴をはかないほうがいいとおいらは思うんだよね」
「どういうことだよ」
「ほら、そのスパイクをはくと誰よりもうまくなるでしょう。でもその分体に大きな負担がかかるのよ」
シュウゴは身に覚えがあった。試合で大活躍して、スパイクを脱いだときのあの激痛。
「地球の神様の力は強いじゃない。そのうち足がちぎれてしまうよ。だからお兄ちゃんは地球靴をはかないほうがいいとおいらは思うんだよね」
どよめきと悲鳴が沸き起こった。異様な空気がスタジアムを包んだ。
シュウゴがピッチの上で、血の海の中、右足を抱えて転がり回って苦しんでいた。彼の右足は、膝から下がなかった。
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