第8話 フジメディアHD
タレントの中井さんをめぐって、様々な憶測が流れ、様々な人たちを巻き込んで、大問題にまで発展しています。真相が全く明らかにされていないので、憶測にすぎないのですが、聞いたら「なあんだ、そういうことか」というような、ごくありふれたものに過ぎないだろうと思います。まあ、そういうことが「ごくありふれたこと」という社会にも問題があるのですが、歴史を紐解くと、理不尽な社会は、一歩ずつ正されていくものなので、この事件も、理不尽を正していく一歩へと繋がればと期待しています。
少し話が横道に逸れましたが、そもそもごくありふれた問題に過ぎないであろうことが、何でこんなに大問題へと発展したのか、そこが大きな問題であると考えます。こんなこと、問題発生と同時に消火に取り組んでおけば、一瞬メディアを賑わせるでしょうが、ごくありふれたトラブルの一つに止まって、被害女性の名前も忘れ去られてプライバシーの侵害も軽度に止まり、フジメディアHD全体への損害にまで発展せずにすんだでしょう。どこかの某さんが性的興奮をあおることをして自称ファンに何かされて問題になりましたが、きれいサッパリ忘れ去られています。なのにこんな大問題にまで発展してしまったのは、フジメディアHDが、情報を扱うプロのはずなのに、情報を扱うことが下手だったことが原因です。
情報の扱い方というのは、大きく二つに分けられます。それは、公開するか否か。公開する場合は、その範囲。日露戦争の説明の時に申し上げましたが、日露戦争の実態については核心を非公開にして情報統制していました。それは、列強の植民地化という絶対に避けなければならない大義があったからです。列強に植民地化されて得をする日本人なんか、ほとんどいません。右派だろうと左派だろうと政治家は立場を失い、富裕層は既得権益を奪われ、貧困層は奴隷に等しい扱いを受けることになります。これほどの大義なんか、そうそう転がっているものではありません。回避不可能な巨大隕石が降ってきて人類が滅亡する、というレベルくらいしかありませんね。こんなもの公開したら、地球全体がパニックになって、いらん損害が天文学的な金額に上ってしまうだけで、何の利益もありませんからね。
情報統制というものは、よほどのものでもない限り、やらない方がよい、というか、やってはならないものです。非公開にすると疑惑を招く。ひたすら箝口令を敷いて沈黙し続けると、勝手な憶測が発生して、全国へ広まる。日比谷焼き討ち事件が、その実例です。日露戦争のような重要な国策で、かつ大多数が情報統制に協力するような事例であっても、こんなことが起きます。
それなのに、政財界は未だに情報統制しようとします。これは、政財界の要人達が、自分達は優秀で、一般国民は頭が悪いから、騙し通せると思い込んでいるからです。明治の元老たちや政財軍の要人達でさえ、完全なる情報統制ができずに日比谷焼き討ち事件とか軍国主義へのきっかけをなくすことができなかったのに、自分達はできると思い込んでいる。とんだ思い上がり、増長です。プロとしての矜持を持つのはいいですが、謙虚さを失ってはならないと思います。
情報統制に走ったきっかけは分かりません。中井さんに忖度したのか、社員を守るためか、はたまた被害女性を守るためか。いずれに、しろ、昨今のネット情報技術の進歩を考えると、全ての情報を隠し通すことなど不可能です。そうなると、どこまで情報を開示するか。この程度の事件であれば、一番いいのは、一気に全てを開示することです。悪いことを良いことに化けさせることなどできません。悪いものは悪い。悪いことに対する量刑は、情報開示後のネットのコメントとか見れば、ある程度見えてくるので、それまで保留してても特に問題は起きません。一気に開示することで、論点の整理がすぐに済んで白黒ハッキリします。白黒ハッキリしているものへの人々の関心は、すぐに薄れます。ゆえに、ダメージを最小限に押さえることができるのです。ゆえに、真相をどれだけ早く全て掴むことができるかが肝要となります。鉄は熱いうちに打てという慣用句の通り、トラブルが起きたら可及的速やかに関係者を集めて情報を全て出さなければならないのです。
この事件は、おそらく逆に、誰かが隠蔽に走って蓋をして放置したため、トラブルが拡大さしてしまったと考えます。長い時間放置したことで、関係者みなの記憶が曖昧になり、齟齬が生じてしまったため、何が真相なのか、もはや誰も分からない。何かのドラマでも主人公が言っていましたが、事実は一つだが真実は人間の人数と同じだけある。これと同じです。トラブル発生直後に真実を集めて検証し、事実を導き出していないから、今となっては何が起きたのかすら、ハッキリしないのです。
トラブルが起きたとき、すぐに関係者を集めて事実を導き出すことを怠り、全てを闇に葬り去ろうとしたこと。
スポンサーや視聴者なんか、いくらでもだまし通せると、なめきっていたこと。
自分達は情報を扱うプロで優秀な選ばれたものだから、情報統制なんてお手のものと、実は無能なのに自らの能力を過信していたこと。
老い先短く老化で能力が衰えている老人を、いつまでも崇め奉らなければ、自らの地位を保つことのできないような無能が、経営に影響を及ぼす地位にいること。
これらがトラブルを拡大させた原因と考えます。日本の政治家や大企業は、多かれ少なかれ、フジメディアHDと同じ病を抱えています。だから、世界で日本だけが取り残され、ついに一人当たりのGDPは韓国に抜かれてしまいました。
ここまで来たら、もはや日本は沈没しか残された道はありません。若い人は、外国語を学んで、日本以外でも生活していける能力を持った方がいいでしょう。
方寸記 Yohukashi @hamza_woodin
ギフトを贈って最初のサポーターになりませんか?
ギフトを贈ると限定コンテンツを閲覧できます。作家の創作活動を支援しましょう。
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。方寸記の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます