黒々とした

 ただ淡々と必要な事項を述べているだけなのに、頭の中には横たわる故人が浮かんでしまう。

 あらゆる人間性なるものを剥ぎ取られたあとの、鞘も柄もない刀身のような遺体。せめて肉体だけでもこの世からさっさと追放したくなる。

 必読本作。