待った! まずもっこすさまの弓道小説を! そのあとこれを読みましょう。

このレビューを読んでくださる方がいるのかわかりませんが、とりあえず最初に言っておきますと、私は弓道素人です。ある日突然、弓道いいなあ、とあこがれるようになり、以来、小説を読んだり動画を見たりして楽しんでいる程度のずぶの素人です。

弓道小説を読んでいると、知らない弓道用語がぞろぞろと出てきます。調べると、しばしば辟易します。なぜか小難しいんですよね。単なる名称ならまだしも、技術的な用語になると、ご解説なさるかたの熱意があふれ、精神論に傾き、「それで?」となることがままあります。

そんななか、もっこすさまのこのエッセイは異色の作品です。精神論を否定されるわけではありません。でもまずそれは脇に置いておいて、肩肘はらずに理解できるところから始めましょうよ、とドライに割り切った口調が心地よいのです。ドライだと言っても、弓道の歴史や精神性を軽視するわけではないですよ。もっこすさまの弓道愛は、このエッセイにも、その他ご執筆されている小説にもたっぷりとあふれています。

もし私のように「弓道、興味あるけど、知らんなあ……」という方でしたら、このエッセイから始めるよりは、もっこすさまの別の小説をお読みになって、どっぷりはまってから、このエッセイに戻ってくると、とても楽しく読めると思いますよ!