上質な文章に酔い、紡がれる人間模様を追い、描かれる世界に浸る
- ★★★ Excellent!!!
まずは皆様、作者様の付けていらっしゃるタグを是非ご確認下さいませ。
【あらすじ】
自身の性癖が仇となり、高級官僚から一転、国立図書館の禁書庫へと「流刑」された主人公。
とあるきっかけで辿り着いた書肆グラン=ギニョヲルで出逢った「革命的美少年」に恋してしまう。その後、そこで開かれる「金曜會」なる集まりに参加するようになるのだが……?
【ポイント】
◆文体の美しさ
読んだ時のリズムがとても心地良いのです。
豊富な知識を土台に紡ぎ出される言葉遣いの巧みさ。
時代の空気感が醸し出された文体、
美しく高密度の文章には感嘆の一言です。
仄暗い書庫の中で、
重厚な装丁の古書を捲るときの、
あの香りと喜びとを彷彿とさせるような。
が、しかし、それだけではないのです。
◆唐突にぶっ込まれる〇〇ネタ
かなり直截な表現が各所に散りばめられています。
始めはちょっと面食らうかもしれません。
が、慣れてくると、
作者様が描き出される世界を構成するリズムとして感じられてくる筈。
◆紡がれるストーリーの面白さ
金曜會なる会合に集うはいずれも癖の強めな男女。
そこへ現れる、主人公・忠嗣が知る、意外な人物。
彼らがそれぞれの回で交わされるお話も、興味深く、
また、
作品の後半で起こる事件の行方も見逃せません。
これらの事件と、伏線の繋がりも鮮やかな一作。
是非、芳醇な文学世界に浸ってみてください。