■あらすじ
幼くして両親を亡くした紗由。
「つらくても、笑っていればいいことがやってくる」
亡き母の言葉を支えに、
引き取られた叔父一家のつらい仕打ちに耐える日々を送っていた。
ところが、突如濡れ衣を着せられ、追い出されてしまう。
行き所無く彷徨い、絡まれた紗由を助けたのは、異国出身の若き名医・アランだった。
紗由の窮状を知ったアランは「落ち着くまでここにいたらいい」と言い、
ひとまず手伝いとして身を寄せる事に。
一方、そのころ帝都では、若い女性の失踪事件が相次ぎ、
その犯人が異国人ではないかとささやかれており……?
全35話。大正浪漫溢れる長篇和風恋愛小説です。
■おすすめポイント
(1)主人公のキャラがいい!
主人公・紗由のキャラが魅力的です。
控えめな一方、芯の強さもあり。
そして、何よりかわいらしいです。
私としては、クリームソーダのお話が一番好きです。
いくらでもおいしいものを食べさせたくなります!
詳しくはどうぞ、エピソードをご覧ください。
(2)一途なヒーロー
物腰柔らかで腕がいい、評判の名医・アラン先生。
しかし、彼には隠された過去が。
その謎めいた、いわば陰の部分もまた魅力的です。
それ故に抱く不安や葛藤。
それに揺れながらも紗由への愛を貫いていく姿に、
主人公達の幸せを願わずには居られなくなります。
(3)本が繋ぐ縁
雨の降りしきる中、立ち寄った書店で出会った二人を繋いだ一冊の「本」。
「本」は、紗由にとって、
読み聞かせをしてくれた亡き母を思い出す“よすが”でもあり、
こんな物語を書いてみたい、という“夢”でもあり。
そしてまた、新たな“友情”を繋ぐものでもあります。
本好きとしてはたまらない演出に、読んでいて楽しくなりました!
(4)人ならざる存在を追う者たち
本作品には“人ならざる存在”から人々の生活や安全を守る存在として「特務捜査官」なる人々が登場します。特殊な能力を持つ彼らの存在もまた、物語世界を彩るものとして、印象的です。
彼らの存在が、紗由とアランの関係に、どう影響を及ぼすのか?
凶と出るか、吉と出るか? 必見です!
■こんな方に
☑大正浪漫な世界観の物語が読みたい方
☑吸血鬼ネタが好きな方
☑一途に思いを貫く溺愛ストーリーを楽しみたい方
和洋折衷の良き時代、大正ロマンと吸血鬼、というモチーフの組み合わせに惹かれました。
両親を亡くして引き取られた先で虐げられ不当な扱いをされた主人公の少女紗由が異国出身の医師アランと巡り合い、仲を深めていきます。
またその一方、帝都では女性が行方不明になり衰弱したありさまで発見されます。
アランを吸血鬼ではないかと疑い彼の身辺を嗅ぎ回る特務捜査官や、紗由の幸せを妬む従姉が帝都で起こる事件に絡んでいきます。
主人公紗由の、控えめでありながら芯の強いキャラクターも好ましく、また事件の展開や解き方、各キャラクターの心の揺れ方、とても完成度が高く一気に読んでしまいました。
完結おめでとうございます。続編等あるようでしたら楽しみにしています。
時は大正、舞台は帝都。
事故で両親を亡くし、叔父の家で報われない日々を送る娘が一人。そぼ降る雨の中、導かれるようにして書店で出会った青い目の青年は運命の人なるや――――
主人公の紗由ちゃんは健気でいじらしく、でも幸薄い境遇のためか好意を向けられても「そんな事ないよね」などと考えてしまうほど控えめな女性。
青い目の青年アランは誠実で一途、柔らかな物腰と腕の良さで帝都でも評判の医師。
二人は雨の帝都にて偶然の出会いを果たしますが、それは単なる運命の悪戯などではなく、それぞれの血が為せる業だったのかもしれません。
裸電球、着物に袴、三つ編みに大きなリボン、大正浪漫薫る帝都で蠢く吸血鬼!?
雨の匂いや風の音まで伝わってくるほど丁寧な描写、誤字脱字も見当たらない完成度の高さ、意外性のあるキャラクター、それらが織り成す珠玉の物語を是非お楽しみください。
両親を亡くし、叔父の家で女中として扱われていた紗由が、異国の血を引く青年医師アランと出会うところから物語が始まります。
ヒロインの紗由が健気! どんなにひどい目にあってもいじけることないから応援したくなります。そんな紗由をつらい境遇から助け出してくれたヒーロー、アラン。立ち居振る舞いが優しくて大人。でも彼には誰にも言えない秘密があって……?
その秘密が紗由とアランを翻弄していきます。
とにかくアラン先生が優しい! ヒロインをいじめない! これ大切!
物語が進むにつれてイケオジや味方も増えて、楽しい。
物語もスッキリ終わるので読後感も最高です。
一途なヒーローの本気の溺愛がお好きな方は、どうぞご一読ください。