めくるめく、格調高き耽美な世界――純粋な下心を添えて

『洒落た性癖』が仇となり、新たな勤務先である国立図書館に『流刑』された主人公。
そんな彼はとある事件を切っ掛けに、九段の花柳街にある奇妙な古本屋を訪ね、そこで彼の運命を変える“革命的美少年”と出会います。

美少年の一挙一動に翻弄され、『洒落た性癖』の妄想を捗らせる主人公の純粋な下心が作者様の格調高い語彙で表現され、耽美な世界観を味わうことができる御作品です。
作者様の深い知識、知見から成る描写の数々は彼等が住む時代の息遣いを感じさせ、鮮烈な読後感があります。

また主人公だけではなく、彼を取り巻く登場人物達は美少年をはじめとして一癖も二癖もあるような変わった者達ばかり。
愛すべき個性派揃いの彼等には、どこか現代にも通ずる『多様性』を感じさせます。
だからこそ、より一層彼等が近しいもののように思えることでしょう。

と、ここまで色々と書かせて頂きましたが……私の一番の推しどころは、美少年愛に満ち溢れた主人公の心理描写!
隠さない下心はいっそ清々しく、もはや感服すら覚えます。そして徐々に彼の魅力に取り付かれ、応援したくなってきてしまう……もしかしたらこれも『洒落た性癖』の一つなのかも?笑

ぜひ、この癖になる世界観に浸って頂きたいです。
自分の新たな一面、可能性に出会えるかもしれません。

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