骸骨というもの

私は骸骨を持つことになった。骸骨は私を頼っている。あなたの中にも、いるでしょう、と問いかけられた。確かに、いるだろう。だが私はまだ、私の骸骨に出会っていない。私の骸骨に出会えるのは、私以外の人々だ。つまり君は私ではない。誰かであった誰かである骸骨。優しい骸骨。


骸骨! 君はなぜ! 私を頼ったんだ! 裏切れるわけがない中に入り込んでくるそこに心臓も脳もないのはおかしい。幸せであれ。しか。思えない。が。骸骨の幸せってなんだ。知らないのに約束してしまうような軽薄さは元々だ。骨の内側にある私の、軽薄、さ。


人ではないよ。もう。だから友ではないよ。家族ではないよ。もの。ものだよ。そして私の中にもそう、ものとしての、私ではあるところの、骨。骨はどう思う、骸骨を。脳も心臓も失い、私に頼る骸骨を。表と裏なのか。傷と傷なのか。鍵と穴なのか。


私は骸骨を持つことになった。悲しいときに悲しいと言う。骸骨は揺れる。骸骨はそうやって残る。心をつかんで。私はつかまれて。命が終わると、骨はこの世に生まれて、骸骨になって、誰かを求めて、こうしてしまうのだろうか。未来を叩きつけるものよ、静かに。

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