その鎖には骨がついていた

ショッキングな題材として読ませていただきました。
混乱した時代に何が正義かわからないまま、過酷な環境で道を造る。
時代を創る人柱の如き囚人たち。
時代の変化する時には人柱が必要なのかもしれない。

数年前まで良かったことが、突然、不適切になる世の中に今作に似た何かを感じる気がします。

この間北海道へ行ったばかりなので、北海道の歴史と空気を思い出しながら読みました。

当時のことと主人公の感じたことが淡々と書かれていますが、非常に読みやすく、むやみにこちらの感情を煽らないところがよりこの作品の品格を上げているように感じました。
こういう物語りの仕方があるのだと、勉強になりました。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（222文字）

網走刑務所はご存じの方も多いでしょう。明治時代に作られ、今では当時の建物を再現した博物館となっている、ゴールデンカムイにも出てきたアレです。
ではその網走刑務所に収監されていた囚人達が従事していた労働とは・・・？

地元では郷土史として小学校の授業で習うのですが、現在の国道39号線などを作ったのがその囚人労働です。-30℃にもなる極寒の中で大木を切り倒し道路とする労働は過酷を極め、まさに想像を絶するものでした。
囚人は二人一組で鎖と鉄球に繋がれ、そのまま作業だけでなく食事や睡眠、排泄まで一緒。極寒と疲労と病気でばたばたと倒れていく囚人達、死ねば足首に鎖をつけたまま道端に埋められる。看守に逆ら…続きを読む