与えられた環境で足掻きながら生きる人々と雪が交差した時 それが起こった

 雪深い地だからこそ、起こってしまったであろう事故。
 その裏には、何人もの生き様が絡み合っていました。

 一人一人の心情を丁寧に掘り下げて描かれた本作は、抉られるような重さとやりきれなさを突き付けてきます。
 誰もが必死に生きているのに、うまくいかずにのたうち回る様に、シンパシーを感じるからでしょうか。早く続きが読みたくて仕方ありませんでした。

 また、題名の『カッコウの巣』は子供食堂の名前です。様々な事情で、家庭での居場所や食事が困難な子供たちを受け入れているのですが、親子問題や格差社会の影で、大人も子供も鉛を飲み込みながら生きている姿が浮き彫りになります。

 人間ドラマと叙述トリックが冴える本格ミステリー作品。
 是非皆様も体験してみてください。お勧めです。

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