雪からは、涙の匂いが漂ってくる

タイトルにあるカッコウは、童謡「かっこう」や「静かな湖畔」の歌詞に登場する夏鳥です。草原や牧草地、林などを住処とするカッコウの鳴き声は、国によって明るいものと悲しいものに分かれます。そして、カッコウの特徴的な特徴はもう一つ。文化人類学に造詣が深い作者様ならではの切り口に魅了される、プロローグをご覧になればご理解いただけるかと思います。

雪国を舞台にした短編連作の群像劇。そう一言でまとめてしまうのが惜しく感じられるほど、人の生き方を深く考えさせられる作品です。
残酷、卑怯、冷徹といった言葉の認識を揺らがせる現代ドラマ、ぜひご一読ください。

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