掌編のむこうから、その悲痛な光景、さらに登場人物たちの人生が垣間見えて、1300字に圧倒されます……。
呑みこまれないよう、くれぐれもご注意を。

「ささくれ」というお題。

この４文字から受ける、放っておかれてしまう痛みや、寂しさにまつわる感覚。

それら全てを独自の視点で見つめられた上で、ぎゅっと集約したような作品。

読み終えて、唸らずにいられない。

　傷つき続けた二人が寄り添って助け合っていた。
　けれど、それは一時の癒やしにしかならず、彼は、彼女を失い絶望した。
　そんな彼に生きる意味をくれたのは······

　希望とか再生とか、そんな生易しい覚悟では無くて、ギリギリの人間が下すギリギリの選択が描かれた作品。
　とても奥深く、胸を打たれました。
　ぜひ、ご一読ください。