第13話 俺の口が上手いんじゃない、この世界のキャラクターがチョロいんだ!

「そう、女神様の、天啓が」

「うんっ、おいら聞いた、三年後、王様、王妃様、第一王子、第二王子、死んじゃう!」

「名前まで知っているとなると、信じちゃうかも……」


 結局、アンケートを取った結果、


・選択肢1 正直にこの世界がゲームだとばらす

・選択肢2 古代人で予知が出来ることにする

・選択肢3 実はこの世界を平和にするため何度もタイムリープしている

・選択肢4 山賊に的中率100%の占い師が居て従った

・選択肢5 女神様の天啓を受けて、その指示通りに行動している

・選択肢6 むしろ私が神だ


 から『選択肢5』が100%の投票で選ばれました!


(いや俺の一票のみだけどさ)


「内戦、防ぐには、おいらが強くなって、助ける!」

「……ちょっと待ってね」


 ファルちゃんが扉を開けると、

 まんま耳をつけていた姿で上の姉三人が立っていた。


(いや、そうだろうとは思っていたけれども)


 姿勢を整える長女ドミニク、

 次女レイラ、三女ミラール、ついでに四女ファル、

 さすがにこの狭い部屋に四姉妹が入ってこられたら僕が物理的に潰されそうだ。


「ふむ、興味深いというか、にわかには信じられぬが」

「しかしここまでの話、矛盾は無いように思えますわ」

「ちょっと不確定な部分が多いので精査は必要かと……」


 そう言いながら僕をじーーーっと見ている!


(そんなに見つめられたら『はしたない私を見て……』とか言って脱ぎたくなっちゃう!)


 いつの昭和ポルノだ。


「テイクくん、嘘ついてないように感じた」


 ファルちゃんナイスフォロー!

 うん、だって実際のシナリオですもの。


(この世界の筋書きは、この頭脳にばっちりさ!)


 ただ、そのストーリーを壊そうとしているのも僕だけどねっ!!


「……まあ、神の予言というのであれば、一考すべきではあるが」


 ドミニクお姉様が本気で考えてくれている、

 うん、このゲーム、この世界ってシリーズ通して、

 どいつもこいつも占いだの予言だの天啓だのに弱いんだよな。


(特に初代のゲームだとストーリーが粗いからなぁ)


 後で小説版を書いた人は苦労しただろうな。

 などと考えていると今度はレイラさんが話し掛けてくる。


「それでテイクちゃん、どうやったら回避できるのかしら?」

「おいらが、つよくなる! そして、みんなもつよくできる!」

「テイク少年、それであの変な場所へ」「うん、あそこで、強くなれるよ!」


 あっ、四人が扉から離れてひそひそしはじめた!


(これはひょっとして、ひょっとするかも?!)


 俺に喋っているのはわかるが何を言っているのかわからない音量で話し込む四姉妹、

 やがてしばらくしてから、一斉にこちらを向いたのできっと話は終わったのだろう。


「……わかったテイク、あそこへ戻りたいのだな?」

「うん、戻って、みんなを強くする!」

「……とりあえずは言う通りにしてみよう、とりあえず、はな」


 やった、チョロい!

 これは僕の話術云々より、

 単純にこのキャラクターたちがチョロ設定なのだろう。


(ゲームだと隣で話しかけまくるだけで親愛度ぐんぐん上がるからねっ!)


「テイクちゃん、本当にあそこで生きていけるの?」

「うん、むしろ、あそこでないと、生きていけない!」


 こんな座敷牢サイズの奴隷小屋は嫌だ!!


「テイク少年、本当に私達を、強くできるのかい?」

「するする、方法も教える、だいじょぶ、まーかして!」

「……私、信じてみる」「ファルちゃん、ありがとう!」


 チョロイン最高!

 いや攻略する気はないけれども!!


「わかった、体力的にも天馬の能力的にも、私が送っていこう」

「いいの?! おいら、うれしい! でも、急に居なくなるけど……」

「それは大丈夫だ、年齢問わず、我が国から来て早々に逃げ出した男など、ごまんといる」


 どんだけブラックなのその環境。


「よし、連れて行く前に再度、確認のために聞かせてくれ、

 私は姉のサテラ姫と、ミラールは妹のリシュール姫と、とても仲が良い」


 うん、だから味方に引き込むときも、

 主人公以外はその組み合わせで話し掛けるんだよな。


「おいら、女神様から聞いた話、もういっかいする!」


 こうしてあらためて四姉妹に、

 自分でも思い出して忘れないようにと、

 事細かに三年後のシナリオを教えてあげるのであった。


(よし、これでこの四人を手駒にして、そして、そして……)


 四大悪女のまずひとりを、手に入れるんだー!!


「……よしわかった、話はもう憶えた、ではテイク、行くか」

「姉様、少しお待ちになられて」


 レイラさんが今度はドミニク姉様とふたりっきりで話し込んでる。


(なんだろう、何か不安だな、俺、何かしくじったかな)


 やがてふたりは頷いた後、戻って来た。


「行く前にテイク、風呂に入ろう」

「おいら、きれいきれいになる?」

「ああ、匂いも取れるだろう、さあ、こっちだ」


(あっ、ひょっとして、テイクの身体から……珍臭が?!)


 でもまあ、ちゃんとした『お風呂』に入れて貰えるならそれでいいや!

 服も確か修行場でポイントと交換できたはずだし、うん、装備だけじゃなく。


「♪おっふろ ♪おっふろ」


 ルンルン気分で行くと、予想外の展開が待っていた!


「さあ、脱がしてあげよう」

「おいら、自分で、脱げる!」

「恥ずかしがることはない、さあ」


(む、むっ、剥かれるううう!!)


 まさかの、おねショタ展開きちゃううううう?!?!

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