明日には今の自分は居ない。だから今日を全力で生きる。

ひとこと紹介文は作中からお借りしました。

親が転勤族だったことで幼少期は学校を転々としていた明日真は、関係の深い友人を作ることを諦めていた。ある日、大人になった明日真の空っぽな記憶を呼び覚ます声が駅構内で聞こえて――。


子どもの頃にたった一年間だけ共に過ごした少年たちが、大人になって再会する。これだけでエモいのに、二人の関係性がまたエモい(語彙は溶けました)。

子どもながらにドライに生きていた明日真が変わるきっかけをくれたユムラの言葉が、ひたすらに良い。
「どれだけ辛い夜もいつかは明ける」とはよく聞きますが、ユムラが言ったように、どれだけ辛くても明日が来ないことだってある。ハッとさせられましたよね。
明日が来るのは当たり前じゃない。それは自分の明日かもしれないし、大切な人の明日かもしれない。だから今日を後悔しないように全力で生きようと、素直に思うことができました。

作者様のお人柄が良く現れた優しい作品です。短い文章の中に多くの気づきが練り込まれています。ぜひご一読あれ!

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