とても素敵なお話で、感動しました。
畏む(かしこむ)
読んでいるあいだ、この『畏む』という言葉がつねに心や脳の片隅にありました。
日本人らしい、自然や神への距離感を感じさせる言葉で、本作の和歌でも使われていました。
オリジナルの祝詞を書かれているというのが、まずそれ自体がすごい国語知識と感性がいると思うのですが、その祝詞が、作品をとおして静謐さと情熱を感じさせてくれました。
祝詞とは、運命や神を畏み、その決意や想いや愛を言葉にすることなのかな、とか、、
僕は本作を読みながら、そう感じました。
神や運命に翻弄され、受け入れつつも、その中で懸命にもがいて幸福や愛を掴みとる。
そんな、ピュアで情熱的で切ないお話でした。
主人公は、とても美しい娘。
遠く橘の(この世界で力を持つ貴族の家の一つ)血を引いてはいるけれど、ほとんど、普通の村娘です。
それが、美貌に目をつけた橘の本家が、「よっしゃ、この美しい娘を宮中に送りこんで、皇太子の妾になれればモウけもんじゃあ!」
(※言葉遣いはイメージで変えております。)
と、女官として、宮中に送り込まれることに。
主人公が、紫微宮《しびのみや》(つまり宮中)の夜の庭で出会ったのは……。
身分を隠した、もちろん……。
素敵な男性です♡(ネタバレ回避っ!)
身分違いの恋、その切なさ。
ヒーローは、やんごとなき生まれゆえ、自分で好きな伴侶を選ぶこともできない立場。
ヒーローも葛藤します。
素敵な恋や〜! あまあまや〜!
うっとりする恋愛の世界に、とっぷり浸かる事ができます。
これは運命の恋。
どう運命の恋なのか書くと、ネタバレしちゃうから、書きません。
でも、読めば、納得!! ですよ。
ところどころ、さしこまれる、作者さまが詠んだ和歌も、とても雰囲気を盛り上げます。
おすすめですよ!
ぜひ、ご一読を!
本当は完結したら書くべきなのに、僕は我慢できずにレビューを書いてしまいます。ごめんなさい。
もう、これは「運命」コンという枠を越えて傑作です。
恋の甘美さは「切なさ」にあります。この物語は、儚く、美しく、甘く、苦しく、愛おしい。そんな「切なさ」が溢れていました。だからこそ、僕をどうしょうもなくたまらない気持ちにさせます。
誰かを好きになり恋をする。
その恋が上手くいけばいいのだけど、
恋すれば恋するほど、
ふり切れぬ切なさを身に纏い、
苦しさを知り、悲しさを知り、愛しさを募らせ、
切なさは、恋は甘いだけじゃないと教えてくれます。
筆者様の渾身の想いがこれでもかと注がれた世界。どんな強い想いがこの物語をここまで美しく昇華させたのか、その心を想像するだけで、もう泣きそうです。
文章が透き通る様に美しく、その表現は日本語の綺麗を具現化し、物語は心をかき乱す様な魅力を強く放っています。
僕は第二章まで読んだだけで、ここまで激しく心揺さぶられました。恋を知り、切なさを知る人間ならば、必ず強く感じるものがあるはずです。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)