終末世界のささやかな明かりが素敵です。

東西冷戦が終結しなかった世界線のお話です。つまり改変歴史ものというわけです。地球ではウィルスが流行し、地上での生活が困難になり、月への移住が計画される――――基本的なSFシナリオを押さえているのが良いと感じました。さらに、交信機(スポット)のアイデアがすばらしいです。月と地球の連絡を担う交信機でのやりとり、忘れられる者と覚えている者の対比、そうした終末世界のささやかな明かりが胸に迫ります。