第16話 肉を存分に楽しむ者
とある彼は鉄板焼きの高級料理店のカウンターに座る。
「黒毛和牛A5を頼むよ」
彼は亭主に注文をすると霜降りの肉が熱された鉄板の上に置かれ焼く音を楽しむ。
(少しは贅沢をしないとな)
次第に肉が香ばしく焼かれている匂いが只より彼は口からヨダレを垂らしてしまう程の顔をするがここは高級料理店。彼はぐにゃっと至福の顔から一変し粗相の無いように振舞う。
(片面がそろそろ焼けるな…)
彼はそう心の中で呟くと亭主は香ばしく片面が焼かれた肉をひっくり返す。
(はぁ~~~この匂い最高!もう片面は軽く焼けば良いからもうそろそろ食べ頃だな~)
赤く染まった肉は薄茶色になりもうそろそろ食べごろを迎え、彼は今か今かと待ちわびる。
(よし!焼けた!後はカットをするのを待つだけだ~)
―――ちょっと!
(ん?肉をカットしてくれないのか?)
彼は亭主が肉をカットするのを待ち続けるが一方にカットされる事が無い。
「ちょっと!折角買った黒毛和牛の半額肉が焦げるけど!?」
彼はふと我に返ると目の前にはホットプレートの上に焼かれた肉が視界に映る。そして、目線をあげ目の前に座るのは自分の妻だった。
「私が肉を焼いたんだから後は自分でカットしてよねー!」
「ハイ……」
彼は高級料理店で食べる肉を妄想していたが、現実はそう甘くなかった。
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