第21話 中二病な者


 「THE俺様の究極秘奥義!ダイナミックスペシャルダークアルティメックバーストソーーーード!!」


 とある男性はまな板の上に置いてあるネギを切る。長いセリフだが切るのはとても遅い。


 「ふっ…。つまらぬものを斬ってしまった……」


 そう呟くとネギを切り終わる。


 「俺様の腕が唸るぜ…。フライパンよ!」


 熱したフライパンに男性は予め用意していたご飯を投入し続いて溶き卵、ベーコン、先程切ったネギをいれていく。


 「喰らえ!俺様のスペシャル必殺技!超超超クイックスピードアポカリプスベラベラアッターーーック!!」


 またもや長いセリフだが木べらをゆっくりと動かす。炒めると塩コショウの調味料などをいれ自分好みの味つけをする。


 「ふっ…。俺様の秘奥義とスペシャルな技で極上のチャーハンが―――」


 男性は出来上がったチャーハンを味見をしていると背後からスパンッ!と頭を叩かれる。


 「で、出たな!冥界の闇の魔王よ!」


 背後に立つ人物の方へ振り向くとチラシを丸めたものを握り仁王立ちする女性がいた。


 「寝ぼけた事をいってんじゃないよ!この馬鹿息子っっ!!台所が汚いじゃないか!掃除しときなさいよ!?」


 男性はフライパンの周りには炒めた米や具材がぐちゃぐちゃに散らかっている事に気付く。


 「はい……」


 掃除を終えると男性は冷めたチャーハンを母親(冥界の魔王)の前で静かに食べた。

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