第20話 Gの末路
とあるGは暗い戸棚の中で本を読んでいた。
「ここの家のやつは鈍いから俺の居場所などわかるまい」
Gは呑気に本を読む。題名は『G異世界転生したら益虫で人間の可愛いペットとなってしまった』だ。
「は~~俺も異世界転生して~な」
本のページを捲ると人の足音が聞こえる。しかし、Gは臆する事もなく堂々と本を読む。
「どうせここの場所なんてわからな―――」
家に住む人が戸棚を開け光が差し込む。読んでいた本の手を止めるがGはそれでも動く事は無い。
(ふん。どうせここまで見ない)
人間がガヤガヤと話す音が聞こえる。そして床にコトンと何かを置き、消えていった。
「ほらな。鈍い人間だ」
Gは再び本を読み始める。読んでいると次第に違和感を感じる。
「こ、これは…!Gの世界で話しているバル弾だ!」
人間は床にバル弾を置いていた。煙はモクモクと出ている。次第にGの身体は麻痺していく。
(く、くそっ!人生終わり…か…よ…)
Gの身体は完全に麻痺し動く事も出来ない。走馬灯が見えふと母親の言葉を思い返す。
「ね~お母さん。何で僕達はにんげんに嫌われるの?」
母親は笑う。
「前ね、おじいちゃんが神様に逢った事があるんだって。神様が言うには人間達は怠ける癖があるから私達を見掛けたら掃除をするみたいだよ。神様は私達の存在に感謝しているんだって」
母親の言葉を思い出すと涙を零す。
(少し…でも…誰かの…役に立てたのなら…それもまた…い…い…か…な…?)
記憶がプツンと途切れる。
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