第19話 木を愛する者


 とある男性はモニターの電源をONにする。


 「今日も木の動画をみよう」


 帰宅早々、彼はモニターの電源をONにすると某動画アプリを立ち上げ木の風景が流れる動画を選択する。


 「この葉の緑色と好い、葉が揺れる音も良い…。やはり木は最高だ!この音を聴きながらお弁当を食べよう」


 彼はスーパーで購入したお弁当を袋から取り出し、葉が揺れる音を楽しみながら食事をする。食材を口に運んでいると、モニター越しからパチパチと燃える音が聞こえ彼は秒で顔をあげる。


 「木が……木が燃えている!?何だこのクソ動画は!!」


 彼は不快な動画を消し、木に関連する他の動画を選択する。次は木の葉は紅くなり紅葉の風景の動画が流れる。


 「はぁ…。やはり木は良いなぁ…」


 お弁当を平らげるとゴミ袋に捨て、彼はモニターの画面を前に目を閉じ、葉が風で揺れる音をじっくり楽しむ。


 「木は大事にしないと」


 先程使った割り箸をゴミ袋に捨てたまま彼はモニターに映された木に見惚れる。

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