第25話 コンクリートを愛する者
とある彼はコンクリートで出来た道路に大の字で寝ころんでいた。
「はぁ~~このコンクリート最高だ…」
人も車も通るの気配の無い緑に埋め尽くされた田舎の土地で糸目でにやけていると彼は身体を横にうつ伏せになる。
「クンクン…このコンクリ―トの匂いもたまらん…」
傍から見ると彼の行動は変態さを感じるがこの田舎の土地には人の気配は無く彼は道路に手を伸ばし触れる。
「このザラザラとした触感も最高だ…都会の道路はどんな感じなのだろ―――」
「キャ…キャーーーーーー!!!人が死んでるーーー!!」
「へ?」
悲鳴の声が聞こえ彼は顔をあげると真っ青になった女性がプルプルと震えた指でこちら側に対し指を差していた。
「ち、ちがうんです!僕は道路を―――」
「キャーーーー!死体が生き返ったーーーー!!えーっと!こういう時は警察!?救急車!?どっちなのーーーっ!?」
1人で騒ぐ女性を懸命になだめるが次第にパトカーや救急車のサイレンの音が聞こえ男性は慌てる。
危うく不審者として逮捕される所だったが3時間にも及ぶ弁解にようやく身柄が自由される。
男性はコンクリートで出来た道路の前で涙ぐむ。
「コンクリートなんて大っ嫌いだーーーーっ!!」
大きな声で叫ぶ男性は一日でコンクリートの事が嫌いになった。
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