第7話 ヤギ飼いの少年
とある少年はヤギ飼いとして生計を補っている。今日もヤギの大群を引き付け山奥へと向かう。
「おい!そこの黒ヤギ!そっちいくなよ!」
少年は群れから外れる黒ヤギの身体を引っ張る。ようやく群がっている場所へと引っ張ると次は白ヤギが群れから外れる。
「こら!!そんなチンタラしていたら山奥にいけないだろ!」
少年は群れから外れた白ヤギの身体を後ろから押す。そして、大群で群がっていた場所に息を切らしながら引っ張ると―――
「おいーーー!!お前ら!何で俺の言う事が聞けないんだ!!」
綺麗に整列していた大群のヤギは散らばる。言う事を聞かないヤギに向い、少年は痺れを切らしムチを大きく振る。
「お前ら!俺の言う事が聞けないのかーーー!!」
地に向い少年はムチをパシンパシン!と音を鳴らしながら振るがヤギはバラバラに散り、そこら辺の草を優雅に食す。
「もう、こうなったら!」
少年は輪っかに丸めた手を唇に当て息を吐く。しかし、ヤギは微動だにしない。
「く、くそっ!!」
少年は再び息を吐く。少年は何度繰り返してもひたすらヒューヒュー!と風の隙間の音が鳴る一方だった。彼は口笛もろくに吹けず、ヤギを1匹も操れない巷で有名なヤギ飼いだ。
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