第17話 表と裏な者


 とある彼はデスクに座りPCで書類を作成していた。ふぅ…と彼は息を吐き、ようやく書類が仕上がると印刷ボタンをクリックし上司に提出する。


 「もう仕上がったのか。君に仕事を頼むといつも早くて助かるよ」


 「ありがとうござます!」


 彼は一礼し、自席に戻る。そんな完璧に仕事をこなす彼を見つめながら女子は小声で話す。


 「ねえ~!あの人かっこ良いよね!」

 「うんうん。あれだけ完璧だと彼女いるかな~?」

 「えー!私、狙ってたのになぁ…」


 女子は彼の話で盛り上がる。彼は女子の視線が集まる中、仕事をこなすと空は次第にオレンジ色に染まっていた。


 「おつかれさまっ!」


 彼は席から立ち上がり女子達にニッコリと挨拶し、会社を後にする。


 「「「おつかれさまでしたっ!」」」


 彼の背中に女子達はウットリした顔で腕をあげ手を横に振る。ようやく仕事から解放された彼は急ぎ足で自宅へと向かい、鍵を開錠する。彼は玄関を通り、一目散に部屋の中に向うと


 「ただいまーーー!!ゆいタソーーーー!!」


 彼はバァン!と勢いよくドアを開ける。彼の大好きなマニアックなアニメの題名『ゆい★マジカル★ハート』である、ぬいぐるみ、フィギュア、DVD、ゲームが部屋の至る所にビシッと綺麗に並べられていた。


 「ハァハァ…ゆいタソ…。かわゆすなぁぁぁぁ!!」


 彼は今日一番のとびっきりの笑顔でフィギュアを頬にスリスリする。

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