発見
あの場所から離れて数日が立った。
あの銀色の波の後はどこにもなく、少女の行方もわからない。
本当に会えるのだろうか。会えたとして会話ができるのだろうか。
ネガティブな思考が、想像が頭の中をぐるぐると回る。
それらの考えを断ち切るかのように足を動かす。
食料はそこら辺の設備が生きていそうな建物か、常温で長期保存できる食べ物を探せばいいし、その条件に当てはまるものはそこそこ多い。
水は、ホームセンターやキャンプ用品店避難所だったであろう場所をあさり、長期保存用の水の入ったパックをそこそこ多めに確保してある。
重さはあるが、これがないと清潔な体は維持できない。
あの銀色の波が下水道などの施設を破壊したかどうかはわからないが、いつでも体を洗えるようにしておくに越したことはないだろう。
少し歩き、まだ設備がかすかに生きていそうな倉庫を見つけた。
鍵はかかっていないようで、ドアは簡単に開きそうだ。
少しずつドアを開けると、暗闇が出迎えた。
目も慣れ、ドアから刺し込む光もあったことから、比較的倉庫の中はよく見える。
大量の食料や水、果には服までもが種類や大きさごとに整頓されている。
歯科足、店や何かの倉庫だったと言うにはやや乱雑で、種類も偏っている。
そう、長期、常温保存が可能なものしかないのだ。
つまり、この倉庫がそういったものを専門的に扱う店のものでないのなら───
この付近に人がいる。
警戒しつつ、ならばここから補充するのは悪いと建物から離れると、背後から声が聞こえた。
「おーーい」
誰かを呼ぶ声。足音は一つしかなく、おそらくは女性。
振り返ってみてみれば、一人の女性がこちらに向かって手を振っている。
敵意はなさそうで、そもそも物資も潤沢にありそうなのに他人を害する必要はなしだろうと思いいたり、とりあえず話を聞いてみる。
女性は元は保育士だったのだと語った。
どこからともなく来た銀色の津波によって周囲の建物や人々は被害を受けてしまったこと、自分や子供、他の仕事仲間は頑丈な倉庫に社会科見学に来ていて助かったこと。
そこにいた人々や、かろうじて生き延びていた人が、その倉庫周辺で物資を集め、住める場所をつくり、今は小さな村のようになっていることなど。
どうもキャンプが好きな人々が集まっていたようだ。
話を聞き、彼女について言ってみれば、たしかに、公園香広場出会ったであろう場所にテントなどが並ぶ居住地ができていた。
まだ小さいのだからここで暮らせばどうかという彼女の提案は、とりあえず飲み込んでおくことにした。
銀色の少女 @natakaya
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