戦災孤児

何かがあると孤児が生まれる。

戦争、災害、それらが起きるたびに人が死に、誰かの親が死に、その子供が孤児となる。

そうして生まれた孤児の種類は、戦災孤児や災害孤児などと分けられるが、今回の種別分けは...どうすべきだろうか。

あれが始まり、1年が過ぎた。死者の数なんざ誰も数えていない。

───いや、数えきれない。

数少ない生存者は各地で集落を作り、暮らしているが、そこに知人なんぞいない。

それほどまでにあれは無差別で、強大で、恐ろしいものだった。

そこに親や子なんて言う区別は存在せず、みな等しく死んだ。

そうして生まれた親無き子、子の無き親は互いに互いを必要とした。

子を育てるというのは週末の世界では厳しく、難しい。

経験のないものに任せられることではなく、子の無き親も、空いた穴を埋めるために、埋められずとも──

少しは足しになるように、生きていく理由になるためにと。

そうしたことを支援する施設は、使用者がいなくなった状態でたたずんでいる。

ならば、それを有効活用するだけだ。

育て、教え、物資を探す。

時たま、誰にも見つけられず、一人で生きていた子供が見つかる。

12,3歳くらいの、少し知識はあるが、生きていくことで精いっぱいの子供。

それより下の子らは、一人で生きていくことなんて不可能で、運よく人に拾われた子供以外は、栄養の無い、細く、枯れた死体で多くが見つかった。

子供らを見つけられる日は多くない。

物資を探しているときに、たまたま同じところに来ていた子らが見つかるのみだ。

今日も、子供は見つからなかった。

やはり、もう他に子供は生きておらず、大人が集まって生きているのみなのだろうか。

そう思いつつも物資を探しに出た日。

この日は、新しい物資の保管場所を見つけるため、少しいつもとは違う道を歩いていた。

それがよかったのか、一人だけ、新しい子供が見つかった。

可憐な、幼い少女だった。

珍しく、道端で見つかった。

少し服が血で汚れているが、少女自身にけがはないみたいだ。何かあったのだろうか。

その子についてきてもらいつつ、少し先へと進んでみると、首を切り落とされた中年よりも少し老いた人の死骸が見つかった。

血はまだ流れており、つい先ほどなくなったことが分かる。

首の切れ方はただ雑に切ったのではなく、切れ味の良い刃物で、骨の継ぎ目を切られたのだとわかる。

そこらの人間にできることではない。

傍らには物干しざおほどの長さがある銃器が落ちていた。

何者かと戦闘し、殺されたのだろうか。

カバンなどの荷物に手を付けられていないため、野党などが付近にいるわけではないようだ。

その時になって今更少女の存在に気付き、死体を体で隠した。

その行為に意味はなく、少女も死体を視認したはずだが、当の本人は無表情で、その死体を見つめていた。

少し不気味だたが、それだけでその子を放置しておく理由にはならない。

とりあえず、物資を死体から少しいただいた後、少女を連れて帰ろう。

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