ただの少女

目を覚ます。

そして知覚する。

周囲の人々の視線を。突き刺さるような視線を。

近くの人と話す人、こちらを罵倒する人、いろいろな人がいるが、共通点が一つ。

すべての人がこちらに恐怖や怒りの目を向けていること。

誰一人として同情せず、誰一人として罵倒しない者はいなかった。

そして気づく。自分が拘束されていることに。

何故か。なぜ私は拘束されているのか。

私が何かをしたのだろうか。

私がこの仕打ちを受けるに足ることをしたのだろうか。

私は拘束され、多くの人に罵倒されうることをしたのだろうか。

私は、ワタシハワタシハワタシハワタシハワタシハワタシハワタシハ───


誰か、助けて。


そんな呟きすら無視されるならば、そんなちっぽけな願いすら無視されるのならば。


世界なんぞ滅ぼしてやる。

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