第15話 なぜ、合流すべきは④班なのか
「お前たちの心配は、俺も十分にわかっている。だからこそ、狙い目は④班なんだ」
どいうことなのかと問うべく、
「①班も②班も③班も無傷だが、④班だけは人数が少ない。俺たちを受け入れる可能性があるとすれば、同じく班員の不足で悩んでいるここだけだ。
つかの間、その場に沈黙が流れる。
先に口を開いたのは、
「それでも私は反対ね。安易に動き回りたくないもの」
彼女の帰還理由に照らせば、今までの言動も心配性ゆえのものと言うより、より無難な方法を模索したいがためのものなのだろう。
ようやく合点がいったと、
「OK、一対一だ。どうするかは、
プレッシャーを与える言い方だが、その決定の重みに反し、
「
首肯する
「ああ。その『恨んでいるかどうか』ってことにも関連するんだが、ほかの調査員の動向についても、ちょっとだけ俺の考えを話しておくぜ。
「どうして?」
「ああ、どうしてそんなことをしたのか――だ」
そんなことに明確な理由があるのかと、
自分たち調査員の目的は、パースの調査を無事に終え、愛する日本へと帰ることである。もっと言えば、現地の探索なぞおざなりにしてでも、パースから脱出することこそが使命だと、そう断じてもよい。
ところが、
銃の乱射に班からの離脱。まるで、真逆のふるまいではないか。
そんなことをしても、帰還の日が遠のくばかりで、パースの解明は一向に進まない。
「……」
だが、その逆説的な考え方は、結果的に
つまり、初めから
「まさか!」
「たぶんだが、そういうことだ。ここに来ている調査員は、みんながみんな、俺たちみたいに日本での新しい生活を、夢見ているわけじゃない。犯罪者を調査員に仕立てようなんていう、この制度そのものの欠陥だな。戻らなくてもいい派の人間が、一定数混じってやがる」
思わず、
それは、
最悪な想定をする
「勘違いしてくれるなよ。俺も戻りたくない派が全員、
昨夜の
「ああ、わかっている。今のままじゃダメだ。昨日は偶然に助けられたが、俺たちは着実に、終わりの寸前まで追いこめられているんだろう。
「なるほど、それもそうだな」
何か妙案はあるかと考える二人に、
「情報は? このセミと、触手とについての知見は、十分に有益な内容でしょう」
「……確かに」
他班との合流には否定的だったはずの、
「いや、そこまでやると下手に出ているようで、却って、後々が不利になると思う。武器こそないが、あくまでも、俺たちと④班は対等だという形を維持したい。こんなもんでいいだろう。……それに、俺たち自身の安全が確保できていない状態で、さらなる交渉の材料を得るための調査なんか、している場合でもないしな」
「それもそうか」
「何でもいいけど、ここから移動するなら、せめて簡単な武器くらいは作りましょうよ。無防備じゃ、さすがに道中が不安だわ」
どれだけ歩くのかも不透明なのだ。サバイバルナイフ一本で向かうには、さすがに心もとない。
近場の植物を加工して、竹槍と木刀まがいの棒を作ってみたが、この中で最も強力なナイフでさえ、
ないよりはマシ。
そう言わざるをえなかっただろう。
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