第24話 復讐者
しかし、だからと言って、⑥班の生存者が、自分たちのことを殺そうとしているなぞとは、俄かには信じがたい。
よしんば、
闇雲には他人を襲わないのだ。
それも落ち着いて考えてみれば、当然だろう。
嫌な言い方になるが、支給された装備は極めて貴重だ。それこそ、パースの文明に目を向けるまでもなく、再入手の機会なぞ、早々に訪れないと予見できる。おのずと倹約の料簡に至るはずである。
仮に、相手の性格を
そうしている間に、みなのそばを離れ、一人で偵察に行っていた
彼は言う。
「顔に見覚えがあった。近づいているのは
「ほら、早く殺しましょう!」
とたんに、
今の状況は、
だが、いくら故意ではないとはいえ、④班に隠し事をしていた形になった点は否めない。
安心しろ。
そう言いたげに、
「まあ、落ち着けよ。一度、結んだ同盟だ。わざわざ、裏切ったりなんかしねえよ。
「えっ、俺? 俺は楽しけりゃ何でもいい感じ」
「……だとよ。そん代わし、お前らも二心なんか抱くんじゃねえぞ」
「ああ、それについては大丈夫だ。このメンバーに限って言えば、絶対にないと言い切れる。理由は各々で異なるが、俺たち全員が全員、本気で日本に帰りたいと思っているよ」
それぞれの事情を、理解しているがゆえの発言だった。
だが、事はそう単純ではないと、
(そうじゃない……。
もとより、
しかしながら、⑤班の願いを、微に入り細を穿ってまで説けば、お互いの望みが、完全には合致していないことに気がつくだろう。
とりもなおさず、
だが、
貨幣では解決することのできない、愛娘との接触。ここに
はっきり言えば、
逆に、正直な話、
新たな戸籍に、遊べるだけのマネー。
報酬の両方を貰えるならば、憂慮すべき事態は何もないだろう。
だが、もしもそこに、万が一にでも
不吉な予感が拭えなかった。
何か重要なことを見落としているのではないかと、恐ろしげな気配が、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます