第16話 捜索の開始
④班と合流する。
そう決心したはいいが、はたして彼らはどこにいるのだろう。
「居場所に見当はついているのか?」
「別れた時の姿を目撃しているので、大体の方向だけ――だな。最初の地点まで戻って、④班の足取りを追うのが堅実だろう」
「それじゃあ、
遭遇すれば一発でアウト。
いくら
しかし、闇雲に捜索するのは無謀だと、
「なら、ほかに何かいいアイディアでもあるのか? ないだろ」
黙考。
幸いにして、
それに、④班の足取りを追うと言っても、彼らと離れてから、すでに数日が経過しているのだ。火も起こせなかった素人同然の自分たちが、サバイバルの心得を持たない中で、一体全体、どれだけのことができるのかは甚だ謎である。
それならば、もっとスマートな方法があるのではないかと、
「川はどうだ? 川を見つけられれば、それに沿って歩いていくことで、ほかの班の痕跡を得られるかもしれない。いくら雨水が豊富とはいえ、向こうだって、水浴びくらいはしたいんじゃないか?」
口元に手を当て、しばらく頭を働かせていた
「まあ……たしかに。捜索範囲が狭いぶん、下手に動き回るよりも安全か。ナイスだな、
三人が移動を始める。
歩く順番は、
「さっきの
いくら
もちろん、靄との不意の遭遇を警戒しているのであれば、話は別だが、それについてはどこであっても同じと言えた。向こうは移動するのだから、その分布を知らない自分たちにしてみれば、実際はともかくとして、表面上は、ルートの違いに有意な差がない。どこの道を行けば遭遇しないのか、丸っきりわからないのだから、評価できないのも当然だろう。
ゆえに、川を見つけるという
一瞥。
その態度は、どこか
「あくまでも念のためよ。誰もほかの人を見捨てることがない、運命共同体なら、あんまり関係ないわ」
それからまもなくして、一帯には都合よく雨が降り始めていた。
これまでの小雨とは異なり、かなりの水量が空から落ちて来ているのだ。
三人の頭上は生い茂った木々に覆われているが、体が濡れることまでは免れない。
だが、その一方で、足元にできた水の流れを追っていけば、川に出られる見込みもあった。
うなずく一同。目的は明快である。
その小さな水流を懸命に辿っていけば、ほどなくして、目の前には大きな川が現われていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます