第10話 ダッフルバッグの行方が意味する、悲劇的なシナリオは?
いつまで待っても戻って来ないことに、
道中で何かあったのだろうか?
いや、
では、ほかに何が。
……まさか、一人で日本に戻ってしまったのか?
自分たちが放りだされたあの場所に、日本へと帰還するための出口があったならば、いくら
「……」
いいや、それはありえないと、
冷静になって考えてもみれば、そんな簡単に帰還できる道が見つかるようならば、現実世界へのUターンが、調査員の目的になっているはずがないではないか。派遣した一分後にはもう、調査員が
どうやら思いのほか、未知の世界に来たことで、
不安を解消し、気合を入れなおすべく、
荷物の運搬に手間取っているだけかもしれないと、
「悪い、遅くなった」
そう話す
やはり、あれだけの荷物を一人で抱えたまま、森の中を歩くのは困難だったのだ。どこかに置いて来たに違いない。
成果はどこだと、そんなふうに
「なくなっていた」
つかの間、何を言われているのか理解できなかった。
しかし、頭とは裏腹に
「どういうことだ?」
「俺も不思議に思って辺りを捜索してみたんだが、俺たちに与えられたはずの鞄が、どこにも見当たらなくなっていたんだよ」
「そんなこと言って、あなたが独り占めしたんじゃないでしょうね?」
目じりをきっと吊りあげながら
「お前なぁ、いい加減にしろよ。昨日からずっと何なんだよ!」
さすがに、これは
仮に
明らかに、
言いたいことは十分に伝わっている。
なにも
確かに、
だがしかし、ここで
喫緊の課題は、やはり武具の量だ。
「……!」
はたと思いつく恐ろしげな予感。
自身の動揺を隠すように、
武器がなくなっていたとは、いったいどういうことだ?
それは、壊れて使い物にならなくなったというのとは、また違う。
扱うのに支障がない状態で、その場から移動したということにほかならない。
そうだとすると、状況はさらに悪いだろう。今までの、単に拾う暇を失した状態とは、比べられないほど悪化している。
武具を奪った犯人が、人工の道具に興味津々な動物でない限り、必然的に、それは他の班の誰かということになるからだ。
相手のぶんの武具まで手にしてしまえば、その班が窮地に立たされることなぞ、初日の一件だけでも容易に理解できるだろう。パースの環境は、それほどまでにでたらめなのだ。
そうだと言うにもかかわらず、犯人の何者かは平然とそれをやってのけた。
極端な話、今後、別の調査員との協力は見込めないことになるのではないか。
自身の抱いた悲観的な想像に、
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